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zoom RSS 第5日目 平山翁の特別講義

<<   作成日時 : 2015/01/11 01:32   >>

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ぎっくり腰入院記(5)

 ああ、毎朝6時に打たれる注射か。
 ありゃあ、糖尿病のインシュリンや。
 俺のは程度が悪いんで、1日に1回、注射で補ってやらなくてはならない。いまのところ、ここでは1本18単位で打っていて、昨日は右足、今日は左腕、明日は左のお尻、という具合に打っていくんだ。痛くはないよ。自分で打つ奴もいる。
 糖尿病の何が一番恐いかっていうと、それは低血糖なんだ。
 血液の中のブドウ糖が急に少なくなって、発作を起こすんだ。ひどい場合は死んでしまう。その時のために、ほら、こんな風にして胸に角砂糖の入ったロケットを下げているんだ。よく、安物のミステリー小説で狭心症の金持ちが、発作を起こしてニトログリセリンを取り出して飲むだろう。あれよりは大きいかな。
 この間の採血は、この血糖値を測るためなんだ。俺が突然「痛い痛い、もうやめろ」と怒り出したので、あんたらはビックリしたろうけど、いつものことで半分は演技なんだ。あの若い看護婦は3度も失敗している。
「もういい。俺は病院を代わる。小山病院へ直ぐに移る。糖尿をこの病院に直してくれなどと頼んどらん」
と捲くし立ててやったら、慌てて引っ込んで、主任が替わりに飛んできた。それは上手に決まっとる。
 痛いときには痛いと患者が云わなければ、看護婦は何時までも判らないし、上手くならないよ。俺は将来を思って、叱ってやってるんだ。

 あんたはハチミガンて知ってるか。知る筈ないか。『八味丸』、八つの味の丸って書くんだが、『八味滋養丸』と呼んでる会社もある。漢方薬では糖尿病の一般的な処方で、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンヒ、ケイヒ、そしてブシの八種類の薬草が入っているんだ。最後のブシというのは、今をときめくトリカブトのことで、劇薬で猛毒だから、八味丸の中には手を加えて入っているらしいけど、ひとつ間違えたらこれは恐い薬なんだ。ここでは、これを出してもらっているが、食間に飲まなくちゃあいけないんで面倒だよ。
 これにゴシツとシャゼンシの二種類をくわえたのが『ゴシャジンキガン(午車腎気丸)』だ。これは余り知られていない処方で、十年くらい前に津村順天堂が売りだして評判になった。本当に良く利いて、俺も足のどうしても取れなかった痺れが、一発で良くなった。ところが普通の医者は知らん。で、何時も俺が教えてやるんだ。
 糖尿病患者は不能になるというだろう。『糖尿インポ』ってやつだが、八味丸はこれに利くということだけど、俺には駄目だった。なんせ一週間に一度しか出来なくなってしまった。

 俺は知りたいことは徹底的に調べんと気の済まない方なんだ。糖尿病の本だけでも20冊近くも持っとる。この間、NHKで「糖尿病治療の最新情報」という番組をやるというから、楽しみにしていたんだけど、皆、知っていることやった。
 食いもんだって、この『糖尿病患者のための食品交換表』という本を見てみい。80カロリーで1点なんだ。全ての食物が4群6種に分けられていて、そこからバランス良く選ぶんだが、俺は図体がデカいから8点とることになっている。これは直ぐに空んじて計算できるように訓練するんだ。ちなみに今朝の朝食は4点、昼食が6点だから、俺にはちょっと足らない。だから、こうやってパンやバナナを食って補うんだ。
 今の若い女の子には、この糖尿病の病人食が人気なんだ。この方法で献立を作ると栄養バランスが良くて、もちろんカロリー・コントロールになり、運動量も計算するからダイエットになるんだと。
 糖尿病の治療というのは、病気を治すんではなくて、病気と上手に付き合うのがコツなんだ。薬を飲むのだって、またインシュリンを打つのだって、近眼の人が眼鏡をかけるのと一緒さ。寝てては意味がないんだ。糖尿病の相撲取りはインシュリンを打ちながら土俵に上がっているんだよ。

 この間、脳血栓を再発したのは血が濃くなり過ぎたからなんだ。病院のお茶を飲んでいたんだが、これがいかんと判ったから、以来この『ドクダミ茶』にしたんだ。そう、血を薄くするためだよ。アルカリ性がどうのこうのと云う奴もいるが、俺は、血は『濃い』と『薄い』だと思うよ。どうだ、タマらん臭いだろう。味は余りしないが、暫く続けているとスッと飲める。そのお茶が切れたときのために用意しているのが、このビンに入ったドクダミの顆粒だ。
 それと、この「スタマゴ」。玄米から作る黒酢というのがあるだろう。合成酢じゃあないので値段が高い。これに生の卵を割らないでそのまま入れる。すると殻が一週間ほどで全部酢の中に溶けてしまうんだ。そして、薄い膜に包まれた卵が残る。これを箸でつついてグチャグチャにし、白い膜だけ摘み出して、残ったのがこれ。ちょっと凄い色をしてるが、チビリチビリやるとオツなもんだ。

1992-02-29/2014-01-11

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