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zoom RSS 第6日目 小林さんの愚痴

<<   作成日時 : 2015/01/15 01:34   >>

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ぎっくり腰入院記(6)

 平山さんがえらいことになった。
 昨日、いつもの五千歩の散歩から帰って点滴が終わると、

「目が曇り、ものが二重、三重に見える。気持ちが悪い」

などと言い出したのだ。
 本人は看護婦を呼んで「急性だから、救急車を呼んで眼科に運んでくれ」と訴えているらしいが、看護婦は目の病気と思ったらしく「眼科の救急病院はない。明日、家の人に連れて行ってもらえ」の一点張り。家族に連絡しようにも、奥さんは昼間は勤めに出ているが、本人にもその電話番号が判らない。
 糖尿病は安定しているということだし、口の回りが悪い原因の脳軟化症ではないし、同室者と居合わせた面会者も加わって、思い煩っていた。
 小山病院で白内障を治療中とのことだったので、大方はその関係とみんな思っていたのだが、その内に里見さんと青田さんが「左右の目が違う方向を向いている」と言い出した。
 それで、これは目ではなくて脳神経の方だということになり、年輩の看護婦が飛んで来て大騒ぎをし出した。緊急に頭のCT撮影をするといってベッドごと連れて行かれたりした。
 そのうち脳外科の若い医者が来て、

「軽い脳梗塞が起きたためで、目が悪いわけではない」

と説明する。『脳梗塞』と確かに聞こえたような気がしたが、『脳血栓』の間違いかも知れない・・・・・・。
 すると、平山さんは殊勝にも尋ねる。

「運動してもいいかね」

「そう、かえって動いた方がよい。
 気分の悪いのが直って、目が普通に見えるようになったら歩いていい」

と、医者は答えて帰った。その後は点滴を3本、立て続けに入れる。
 暫くして奥さんが見えられて驚いていた。

 平山さんは、今日にはもう元気になっている。点滴が利いたのだろう。
 横から見ていてウンザリするのは、回ってくる看護婦が変わるがわる、もう判を押したように指をかざして「これが何本見えるか」と聞くことだ。それを知ったところで看護婦がどうしてくれる訳でもないのが解っているのに、平山さんは面倒がりもせずちゃんと答えている。
また、平山さんが歩こうとすると、看護婦は強行に止める。私も確かに、脳外科の先生が平山さんに積極的に動けと言ったのを聞いたが、本人が「まだ蛍光灯が二重に見える」と云う段階では止めた方がいいかなとも思う。しかし、看護婦は押し並べて一律に「動くな」と云う。これでは癇癪が落ちるぞと思っていると、そうでもなく、淡々として言うことを聞いているように見える。
 不思議に思って本人に聞くと、意外と醒めている

「看護婦には適当に受け答えしていている。いちいち逆らっても切りがない。
 医者と看護婦が往々にして違うことを云うのはよく経験している。看護婦なんてのは何にも知らないし、医者が下した指示はカルテに記載されるもの以外は解りようもない。俺は専門家の言うことだけを信じて覚え込こむことにしている。今度の場合では、脳外科の先生の言葉だけに真実があると思っとる。
 しかし、そんな病棟担当の看護婦でも本気で心配してくれてはいる。感謝しこそすれ、怒ることはない。歩きたければ、連中の目の届かない夜中に出歩く手もある。また、俺はまだ若いつもりなのに『お爺ちゃん』と呼びよるのも居るが、一人に怒ったところで、また別のが知らずに呼びよる。だから、怒鳴ったところで効果の上がらないものは、諦めたほうがいい。
 糖尿病の入院で退院が近付くと、栄養士から食事療法の指導がある。その中では必ず『一ヶ月に一度は思う存分飲んだり食ったりしてもよい』と教わるはずだ。ところが医者にこの話をすると『そんな馬鹿な』と取り合ってくれない。そこである時に携帯用のテープ・レコーダーで録音して聞かせてやったら、ウンもスンもなく愉快だった。この指導の理由は、神経を病んだらいけないので気晴らしだと云うことだ。
 こと程左様に、一人の患者を相手にして、それぞれの立場の人間の指示は異なる。そこで、俺はそのことについての専門家を見定めてよく聞くようにしているんだ」

 そういえば私も、虫垂炎の再発で薬で散らしてもらっているが、入院直後には四六時中、点滴をしっぱなしの上に、食事はなおのこと、水を飲んでも駄目という指示で苦しい思いをしていた。それなのに、3日目には看護婦がカルテを見て「あら、小林さんは飲水可と書いてあるわ」てな調子で、「お茶もいいですよ」と言ってくれた。水を飲んでもいいのが今日からなのか、それとも3日前からだったのかがハッキリしないが、これでは、自分の処置がちゃんとなされているか不安になるのを通り越して、我慢していた自分がアホらしくなる。
また、確かにいくら歳を取っていても若い看護婦から「おジイちゃん」と呼ばれるのも気分のよいものではない。看護婦は親しみを込めたつもりだろうが、こっちだってまだモウロクしているわけではないのだから、自分の孫でもないのに年寄り扱いするなと言いたい。家族が余り来られないのを知って「寂しいでしょうけど我慢してね」とは、忘れているのにワザワザ思い出させているだけだ。こういう輩を偽善者というのか。ブツブツブツ・・・・・・

1992-02-29/2015-01-15

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